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お笑いバトルロワイアル〜vol.8〜

1 :名無しさん@お腹いっぱい。:03/11/19 21:15
お笑い芸人を題材とした、バトルロワイアルパロディスレッドです。
ローカルルールや過去ログ・関連スレッドは>>2以降を参照して下さい。

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502 :@挙動不審:04/03/30 22:17
>>455-459の続き

倒れこむように地面に手をつく。
冷たくて、暖かい。
微かに湿ったその土が、永沢の手を優しく迎え入れた。

「くはっ……か…ゲホォッ!」
半分胃液が混じった唾が、喉の奥から染み出てくる。
止まらない息の鼓動が体を締め付けながら、
1滴、また1滴と吐き出されていく。

目を閉じて思い出す。
あの人の最期を。
だいたひかるの最期の声を。銃声を。
後ろを振り返らなかったことを少し後悔する。
どうして、せめて見届けるぐらいのことが出来なかったのか。
どうして素直に逃げてしまったのか。
後の祭りだとはわかっていても、無性に腹がたって、後悔して。

―――――殺した。
そうだ、俺が殺したんだ。殺したようなもんだ。
これで、2人目だ。


「……!」

一瞬、脳裏をなにか懐かしいものが通り抜けた。
2人目? じゃあ1人目は、あいつ。
地面についた手を見る。この土。この場所。まさか。
まさか。
まさか。

503 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/03/30 22:21
地面に手をついたまま、四つん這いの状態で進み出る。
永沢の目は見開いていた。
ただ事じゃないほど緊張しているのに、不思議と汗は出なかった。

恐ろしい偶然だ。またこの場所に舞い戻ってくるとは。
目の前には茂み。この茂みの先には何があるか。
それはもう予想はついていたはずだった。
だがそこにあった光景は、永沢が知るものとは少し食い違っていた。

「これは……」

そこにあった死体は2つ。アップダウンの阿部と竹森だった。
「どうして……?」
あの時自分に襲い掛かってきたのは、
あの時自分が殺したのは阿部だけだったはずだ。
けれど、そこには首にナイフが突き刺さったままの竹森の姿があった。
「後を……追ったのか……?」
永沢は震えた。震えが止まらなかった。
自分がしたことで、自分が阿部を殺したことで、また一つ死体が増えたのだ。

絶命した竹森を見る。気のせいか、まだ生気があるような気がした。
放送で名前が呼ばれていた覚えもない。まだ死んで間もないのか。

「3人目……」
永沢は呟く。
恐怖に狂って襲いかかってきた阿部。
相方の後を追った竹森。
何者かに撃たれただいたひかる。
みんな、みんな自分が殺した。

殺した。

504 :@挙動不審:04/03/30 22:22
永沢は目に熱いものが溜まるのを覚えた。
どうして、どうしてこんなことになってしまったんだろう?
「……ははっ…は……はは………はははは……」
永沢の口から笑いが生まれた。ごく自然だった。
笑うしかなかった。流れる涙も気にせず笑った。
笑いながら、永沢は何かを切り離した。

「もう……何が何だかな」
今まで穴にこもっていた自分。
人を殺したことを責めていた自分。
殺されることを怯えていた自分。
何もかもが、永沢の中からこぼれ落ちた。
殺人は―――――このゲームの主旨だ。

何も言わず立ち上がる。
涙は相変わらず流れていたが、いつのまにか質は変わっていた。
死んだ3人を頭に浮かべ、反対側を向き、深く深く、頭を下げた。
それが彼なりの謝罪と供養だった。

殺されるなら、いつでも殺されてやる。
運が良ければ佐々木に会える。運が悪けりゃそれまでだ。
ポケットに折りたたんでいた地図を開く。
現在地はすぐわかった。この場所は、よく覚えている。
「あの穴が……こっちの方角だったか?」
ここに向かえば、もう1度佐々木の後を追えるかもしれない。

ホリやヒロシの死体をまた見るだろうか。
だいたひかるを殺した奴と出会ってしまうだろうか。
でも、もうそれは取るに足らないことだ。

どこかで何かが吹っ切れていた。
相変わらず、涙は流れていたけれど。

505 :@挙動不審:04/03/30 22:24
短いですが今日はここまでです。
503の名前を間違って名無しさんにしてしまいましたw
すみません。

506 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/04 13:38
>>499
携帯からは見れないのでしょうか…?

507 :小蠅 ◆ekt663D/rE :04/04/07 21:25
4月になるとさすがにまとまった時間を作りづらいですね・・・
とりあえず保守。

508 :名無しさん@お腹いっぱい:04/04/12 20:11
あげ!

509 :通過@19:04/04/13 10:48
久しぶりにきました。
今は見る側で存分に楽しんでます。書き手さんがんばって!

510 :B9@新生base:04/04/14 20:51
>>419の続き

「はぁ〜〜……」と吐き出された溜息は鉛のような重さをもって空気中へと溶けていった。
いっその事、この鬱蒼とした気持ちも溜息と一緒に出て行ってもうたらええのに……と
思ったが世の中そんなにうまく出来てはおらず、吐き気にも似たその気分は水口の胸の辺りで
もやもやと停滞し続け一向に消える気配はない。胃の辺りがキリキリと痛んだ。
そんな柔な神経の持ち主でもなかったはずやねんけど……と自嘲的に笑う顔も引き攣っている。
民家を出るまでの水口は場所にそぐわないくらい余裕があった。
なのにどうしてこんな事になってしまったのだろう?
理由はいたって簡単……
「あかん、またや」
水口は苦しそうに顔を歪めると足を止めた。
背筋にゾワリと撫でられてるような感覚が走り……同時にぶわっと一斉に鳥肌が立つ。
後ろに誰か居る……見られている……そんな気配。
「大丈夫や、どうせ誰もおらへん。さっきもそうやったし、その前もそうやった。」
自分に言い聞かせるようにそう言うと乱れた心拍を打ち続ける心臓を押さえ
呼吸を整えると、水口はゆっくりと振り返った。
だけど……いや、やはりと言うべきか、そこには人影どころか虫の一匹さえいやしない。
水口はふたたび溜息をついた。
今度は鉛のような重さではなく底なし沼に突き落とされたような諦念と陰湿さを含んだ溜息だった。
極限状態で張り詰められていた緊張感が一瞬緩んだことで溢れだす脱力感と
疲労感……それに安堵と不安と苛立ち。
それらは混じりあうわけでもなく混沌とした状態で水口の精神を圧迫する。
「限界」という二文字が頭をかすめると水口は遂に「も゛ーー!なんなん、ほんま!腹立つわ!」と
声を上げると髪の毛をかきむしりながらその場にしゃがみこんでしまう。
「くすっ」と笑うような声が聞こえたような気がした。気が狂ってしまいそうだった。

511 :B9@新生base:04/04/14 20:51

オムレツを食し、民家を出た水口は奇妙な視線に悩まされていた。

身の毛もよだつような突き刺さる視線→振りかえる→誰もいない→歩き出す→
身の毛もよだつような突き刺さる視線→振りかえる→誰もいない→(REPLAY)→(ENDLESS)

そんな事をここ数時間にノイローゼになるくらい何十回、何百回と繰り返していた。
水口は格闘技をやっていたことがある、しかしだからと言って視線や気配を
敏感に感じとれるほど感覚に優れているわけでもなければ神経質な人間でもない。
だが、そんな水口でもこの視線ははっきりと視線として察知し認識することができた。
裏を返せば察知し認識せざるおえないほどのナニカがその視線には含まれていた…という事だ。
こんな陳腐な言葉をもってしか説明できない己の文章力には落胆するほかないが
少しでも伝わってくれる事を願おう。
つまりそれくらいその視線は異様さ…そして異常さを帯びていたのだ。


最初、水口を襲ったのは恐怖だった。
殺し合いが当然のように行われ、銃声が当たり前のように響き、
血まみれの芸人が理不尽にあちらこちらで己の人生の幕を下ろしているこの場所で
誰かに見られている感覚……それは「死」を意味する可能性を大いに含んでいる。
例えば人を殺す気でいる芸人がゴルゴ13よろしくライフルの銃口を水口へと向けて、
その狙撃のターゲットとして照準を合わせていても何もおかしくはない。
そう思うともう水口の脳裏にはゴルゴ13が自分にむけてライフルを構えている
ビジョンしか浮かばなかった(こういう書き方をしてしまうと滑稽な感じにしかならないが、
実際自分が「死」というものとリアルに隣り合わせの世界でゴルゴ13に狙われていると思うと、
それだけで充分恐怖の対象になりえるものだ)
もちろん水口もみすみす殺されるわけにはいかなく、木々が立ち並ぶ視界が良いとは
いえない森へとはいり縦横無尽に逃げまわった。
しかしそんな簡単に解くことのできる視線なら水口もこんなに焦燥感に駆られる事も
なかっただろう。視線の主が水口を逃すことはなかった。

512 :B9@新生base:04/04/14 20:52

次に水口の中に湧いたのは違和感。
約2時間が経過しても見てるだけで一向に攻撃をしかけてくる様子を見せない視線の主。
「あれ?撃ってこうへんやん?」
もちろんそれは水口にとっては幸いなことだったが同時に不可解で、
次第に水口も「なんかおかしいぞ」と思い始め……そして気付く、その視線には悪意や
殺意といったものが微塵も感じられないという事に。
いや、だからと言ってそれを好意的なものと受けとるにはいささか無理があり、
そう……あえて言うなら、絡みつくような纏わりつくような粘着的な……まるで遠目から
水口を眺めて観察しニタニタと笑い楽しんでいるような……そんな視線だった。

ストーカーの被害というのは本当に悪質だ。世の中から消えてしまえばいい。
この時の水口は真剣にそう思い、鉛のような重さを含んだ溜息を吐いた。
水口が視線の異様さに気付いてから更に2時間経過、やっと場面は文頭へと戻る。
「なんやねん、ほんま!なんで俺なん?頭おかしいやん!?」
しゃがみこんだままの水口はブツブツと悪態をつき続けた。
もう愚痴でも言っていないと本当にノイローゼにでもなってしまいそうだったからだ。
懐のホルスターに収められたナイフを上着越しに触れ、その感覚を確かめる。
このナイフを使っての無謀な計画が水口の頭をかすめたが考える間もなく却下。
つきまとう視線が水口の不快感をあおるに十分で気持ちが悪くたって姿の見えない相手に
手の出しようもない。だいたいこんな視線を繰り出せる人間はまともじゃない。
そんな人間を相手にはしたくない。
水口はチッと舌打ちし「不快やわ」と吐き捨てると立ち上がり再び歩き始めた。

513 :B9@新生base:04/04/14 20:53

それからどれだけ歩いただろう?
死者および禁止区域を知らせる放送が一度流れ、水口が知っている人や
親しかった人の名前もその中にあり、沈んでいた水口の心をさらに沈ませた。
そしてそんな水口の心を映すように雲行きまで怪しくなってきて、ポツリポツリと
小雨が降り始める。踏んだり蹴ったりとはまさにこのことだ。
水口は気難しい顔をすると雨を防げそうな場所を探し始めたが、街から遠く離れた
この場所は残念なことに右を見ても左を見ても木々しかない。
そんな状態に諦めを覚えかけた……その時、水口の目に不思議なものが飛び込んできた。
大きな木に隠れて死角になっていたので今まで気づかなかったがそれは祠(ほこら)だった。
近づいて見てみると祠の中には赤いよだれかけをしたお地蔵さんが安らかな顔で
ちょこんと納まっている。
覗き込むと祠は小さい(いや、地蔵を囲うだけの祠にしてはかなり大きい。
あくまで水口が意図している事を考えると小さいという意味だ)が、それでもまだ人が一人
ギリギリ入れるくらいのスペースは空いていた。
いくらなんでも罰当たりで人道的ではないような気がしたが殺し合いが行われている中で
人道を唱えても仕方ない。
水口はしばらく考え込み「まぁ、しゃあないやろ」と呟くと、手を合わせ
「一緒に休ませてください」と言って屈むと体を小さくさせて後ろ向きで祠の中へと
体をおさめた(正面から入ると中で体の向きを変えることができない)
カバンを抱えたままお地蔵さんに寄りかかるような三角座り、少し…いや大分窮屈だったが
びしょ濡れなるよりはマシだった。
小雨は本降りへと変わり灰色の空からザーザーとうちつける雨を水口は祠の中から
静かに眺めていた。アノ視線はこんな大雨の中でもまだ断続的に続いている。
しかし水口の疲れはすでにピークに達していたし、視線には無視を決め込んでいた。
ザー…という雨の音が響くなか、瞼の重さに耐え切れなくなった水口は目を閉じた。
すると急激な睡魔に襲われる。もともと安心して寝れる環境ではなく寝不足だった上に、
心身ともに疲れていたこともあり一定の雨音が眠気を誘うのだ。
ウトウトとし始めたかと思うといつのまにか水口は眠りについてしまっていた。

514 :B9@新生base:04/04/14 20:54

「水口さん?死んでるんっすか!?水口さん!!」
自分の名を呼ぶ声と共にペチペチと頬を叩かれ、水口は目を覚ました。
「んっ……」と声を発しながら顔をあげると頭をぶつけ、自分が祠の中にいた事を思い出す。
全身が痛い。無理な体勢で寝てしまったのだから当然といえば当然だ。
寝ぼけ眼でよだれを拭い(お地蔵さんによだれかけをつけた人も本当によだれが
垂れるなんて想定していただろうか……)声がした方へと目をむけた途端、
水口の眠気は吹っ飛んでいってしまう。
「大浦に中立!?」
そう、そこに立っていたのは大浦梶の大浦とけもの道の中立。
「何してんの?」
「何してんのはこっちの台詞ですよ!何してはるんすか、そんなとこ入って?」
「何って……雨宿りやん」
「もうちょっと他に場所あったでしょ。どこ入ってるんすか〜」
「まぁまぁ、水口さんが生きててんから良かったやん」
呆れた様子の大浦と強面の顔に似合わずニコニコと笑う中立。
この場所で知っている顔に出会えるというのがこんなに嬉しいことだったんだと水口は痛感する。

しかし、その時……水口はふと違和感がないことに違和感を感じ、そして気付く。
―――――アノ嫌な視線が消えている。
水口はキョロキョロと辺りを見回したが、そこにはただ緑の木々が立ち並び、
さっきまでの雨が嘘のように空はどこまでも青く晴れわたって、
乾ききっていない雨の水滴がまるで滑り台からすべり落ちるように玉葉の上を
滑降するという、あまりに平凡で穏やかすぎる光景が広がっているだけ。
アノ嫌な視線も人の気配もそこには存在しなかった。
あれだけ執拗なまでに水口を追いかけまわした視線が突然消える……
それは不可解でしかなく、もっとよく考えさえしていればこの時点の水口にだって
この後に起こる悲劇と呼ぶに充分なソレに対して何か手立てができていたかもしれない。

515 :B9@新生base:04/04/14 20:55
いや、「もしも〜だったら」とか「こうなっていたかも」なんていう、
あり得もしない未来を過去に依存させ、空っぽな希望とそれゆえの絶望を煽るだけの言葉は
何の意味も持たず、ただ虚しくなるだけだから止めておこう。
とりあえず、この時の水口は顔見知りに出会えた高揚感とあの忌まわしい視線からの
解放による安心感でいっぱいで、このことについては深く追求しなかった。
どこか麻痺していた感は否めないが、それが水口のとった行動だ。

「水口さん?」と中立に呼ばれる声で我に返った。
「どないしたんすか?いきなり黙り込んで?」
「いや、何もない。それより何でお前ら一緒なん?」
「相方の中村探してたら大浦と会うて中村の居場所知ってるって言うから
連れて行ってもらってる途中やったんすよ」
中立の言葉に水口は『そういえば俺も相方探しとったんや。忘れとった……』とすっかり
忘却されていた自分の目的を思い出すと「本坊知らん?」と2人にむかって尋ねた。
中立は「本坊さんですか?いや、見てないっすね」と申し訳なさそうに答え、
そしてそんな中立の横で何かを考え込むような仕草をしていた大浦は顔を上げると
「僕も知らないっすけど≪アイツ≫やったら知ってるかもしれないっすわ」と
どこか嬉しそうな声を出した。
「≪アイツ≫って誰よ?」
「今から中村がおるとこ行くんですけどそこに≪アイツ≫もいますから水口さんも
一緒に行きます?多分……いや絶対≪アイツ≫は本坊さんの居場所知ってますよ。
ほんま≪アイツ≫は何でも知ってますから!大丈夫です!行きましょ!」
「ちゃうがな、だから≪アイツ≫って誰なん?」
「行けば分かりますから!ええから、行きましょうよ!」


516 :B9@新生base:04/04/14 20:55
水口は大浦が時折見せる根拠の見えない強引さは少し疎ましく思う一方で
嫌いではなかった。大浦の言う≪アイツ≫が誰なのかは分からなかったが
本当に本坊の居場所を知っているならそれに越した事はないし、
素直にその提案を受け入れることにした。
「しゃあないなぁ……」なんて呟きながら水口は祠から出ようと「よいしょ」と
腰を上げようとして硬直する。すっと血の気が引いていくのが分かった。
水口はもうすでに歩き始めている大浦と中立を「ちょう待って!」と慌てて引き止める。
「どないしたんすか?」と不思議そうに振り返る2人。
「大切な話があんねん。ちょっと頼みたいねんけど……」
神妙な口調でそう言う水口に、中立は不思議そうな顔をし大浦は表情を曇らせた。


「悪いけど出られんくなってもうたから出るん手伝って」

「「……………………。」」


そう……無理な体勢で祠に入り、そのまま長時間居たせいかガッチリとはまってしまって
抜けなくなってしまった体……。
この後、行われるアメリカテキサス州で起こった路地に挟まってしまった猫救出劇ならぬ
お笑いバトルロワイアル中に起こった祠に嵌ってしまった水口救出劇については
多くを語るに及ばない。
片や勇敢な警察官が救出し、片やしがない後輩に助けられたくらいの違いでしかない。

517 :B9@新生base:04/04/14 20:57
ただ一つ述べておくとするなら、その救出劇の間ずっと呆れた様子で水口に
小馬鹿にするような言葉を投げかけ続けた大浦(始終ヘラヘラとした笑みを絶やさず、
後に水口によって蹴られる運命が決定済み)が先ほど少し垣間見せた曇った表情の直後に
どこか意味ありげな安心したような表情を浮かべていた事くらいだろうか。
しかし迂闊にも水口にはそんな事を気にしている余裕はなく見逃してしまっていた。

そして、狂った歯車がゆっくりと…しかし確実に動き出し、壊れた世界はさらに壊れる事となる。



【ソラシド水口、大浦梶大浦、けもの道中立 合体】

518 :B9@新生base:04/04/14 20:57
今日はここまでです。今回も長くなってしまってすいません。
それと長期放置スマソです。前回感想をくださった方々ありがdヽ( ´∀`)ノ

訂正なんですが>>413の6行目。

×完封なまでに
〇完膚なきまでに

なんでこんな馬鹿な日本語間違えをしたんだか…
日本語勉強しに逝ってきます…λ...

519 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/14 21:09
おぉぉ。
読んでてドキドキしました。

それにしても本当に文章が上手い。
新作お疲れ様です。

520 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/14 21:51
B9さんキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
今回も読んでいて息が詰まる思いでした。
今後の展開すごく楽しみです。おつかれさまです。


521 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/14 23:14
B9さんお疲れ様です。待ってました!!!
大浦さんの言うアイツが気になります…

522 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/17 00:42
こんな事を言うのは生意気ですが、
B9さん初めの頃からどんどん文章が上手くなっていますね。面白い!

523 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/19 07:32
B9さん乙です!!

自分の中での大浦像が、「何となくつかみ所の無い不思議な子」だったので(ただ単に、あまり見た事がないだけなのですがw)B9さんの書かれる大浦に凄く興味津々です。
続編も、目一杯期待して待たせて頂きます!!頑張って下さい。


524 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/19 18:32
本ページのほうのvol.1〜7を抜粋して読んでいて、少し気になった事があるのですが、
ルート増田って、氏んでますか? ハリガネ松口に「頃せ!」と、言われただけで、
まだ氏んでいないと思うのですが? だれか、そこら編のことお分かりになるかたいたら返信お願いします。
まだ、生きてるって話だったら面白いのにな…

525 :通過@19:04/04/22 12:54
ぼちぼち、自分もまたちょっと手を出したくなってしまったので、後々書きたいと
思います。ストロング・マイマイズ、きぐるみピエロで。
まだ出てなかったと思うので

526 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/22 21:45
>524
そーいえばそうだね。増田さんの生死は定かじゃない。
チャブの柴田さんが一度ルートのこと呟いてたけど、堂土さんの脱落は
放送で聞いて知ってたけど、増田さんの脱落はその時点では判ってない。
いいんじゃない?存命で。

527 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/25 01:36
スピワの集団催眠編って書いてもよろしいでしょうかね?
どうせ私が書くもんなのでしょぼいですけど。

528 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/25 12:53
どぞー

529 :ヘボいですがスピワ集団催眠編:04/04/25 21:19
自らに銃口を向けた後、小沢は何処かを彷徨っていた。


まるで夢から醒めるみたいに、ゆっくり、ゆっくりと浮上していく。
―まぁ、天国には行かないだろうな。
―でも、地獄に行くくせして浮上するのか?
ぼんやりとした意識の中で、小沢はふとそう思った。

―自分は、人を殺したというのに。





530 :ヘボいですがスピワ集団催眠編:04/04/25 21:20

「おはよう、小沢さん。」
目を開けると、殺したはずの人物が至近距離で笑っていた。
小沢は状態を飲み込めずただ瞬きばかりを繰り返す。
「やっと起きましたよー。この人失格。はい、ワッペンちょうだい。」
井戸田はそんな小沢はお構い無しに、白衣の男からワッペンを受け取っている。

「はい、失格。」
無邪気な子供のようにケラケラと笑いながら、井戸田はワッペンを小沢の額に押し付ける。
小沢は身を起こして周りを見回した。
そこには死んだはずの藤井や岩見がいて、井戸田と同じくこちらを見てニヤニヤと笑っていた。
「小沢君、最後かっこよかったなぁ。」
「『こっから先は、自分で選べ』だっけ?漫才で使ったら?この台詞!」
笑いあう三人を前に小沢は今だ呆けていた。



「全部…夢?」
呆けたまま、やっと小沢は口を開く。
「そうだよ小沢さん。全部夢だったの。」
井戸田が優しく答える。
「皆、死んでないの?」
「そうだって。僕らもぴんぴんしてるやろ?」
飛石連休の二人もおどけたように答える。

531 :ヘボいですがスピワ集団催眠編:04/04/25 21:21


その瞬間、小沢の両目から涙が溢れ出した。
「潤ー!!!!」
「何泣いてんだよ!!おい!抱きつくな!気持ち悪い!!」
「だってぇだってぇ!!!」
甘えたように小沢は泣きじゃくる。
「俺…潤の事っ…。」
井戸田は少し困ったように小沢を引き剥がすと宥めるように頭を2回叩いた。
「小沢さん、夢でしょ?全部夢だったんだから。」
だからもう忘れた、と井戸田は笑う。
「確かに向こうじゃスベったけどさ、その分こっちで笑い取んなきゃ。
 俺たち二人で『いつもご陽気なスピードワゴン』だろ?」
その言葉に、ひたすら小沢は泣いた。
嬉しくて、笑いながら泣いた。


この時だけ小沢は、普段は信じないはずの神様に感謝した。
小沢にとっては、ここがもう「天国」であるような気がした。


532 :527:04/04/25 21:36
ものすごくヘボいですが書かせていただきました。
スピワゴ小沢はよく泣いているので、泣かなかったあの時は辛かったんだろうなと思いまして。
それで、思い切り泣いて欲しかったんです。
なんかぶち壊してすいません。

533 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/25 22:15
>>527
乙でした!
何気にラストが切なかったので
泣きながら笑っている小沢さんが幸せそうでした。

534 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/04/27 19:29
>>527 乙!!
なんか凄いスピワっぽさが出てる。。。
ヘボくなんかないですよー

535 :  :04/04/28 18:08
      

536 :名無し:04/05/03 02:00
age

537 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/07 00:05


538 :小蠅 ◆ekt663D/rE :04/05/07 05:21
>>365-372 の続き

「まぁ・・・別に構わへんけど。」
模造刀に一度目線を落とし、それから村田の顔を見て、名倉は小さく答える。
「まさかお前、その格好のまま出掛けるつもりなんか?」

そう言われて、村田はふと自分の現在の格好を思い出した。
血や泥で汚れたボトムはともかくとして、上半身は肩の応急処置の為も相まって素っ裸。
「せめて何か羽織って行ったらエエんとちゃうの?」
「わ・・・わぁってるわ!」
ニヤニヤとしつつも冷静に告げる名倉に対し、村田は顔を真っ赤にして言い返す。
気付いた途端に海の方から吹き抜けてくる風が肌寒く思えたようで、身体を丸める村田の様子に
悪いとは思いながらもゆうきは小さく笑った。


逆に考えれば自分の格好に気が回らなくなるぐらいに、『ゲーム』を潰す算段に
村田の意識が向いているという事でもあろうけれど。
シャツなり何なりを取りに、バタバタと建物の中に戻っていく村田の背中を見送った視線を
名倉はふと傍らのゆうきの方へを向ける。
するとゆうきもまた名倉の方を見上げていたようで、二人の視線は見事に鉢合った。

片や全国区の看板番組持ち芸人、片や事務所ライブの若手コーナーで藻掻いている無名芸人。
たとえ、村田がその間を介していたとはいえ、本来ならこうして至近距離にいる事すら
畏れ多く緊張する相手を前にしていても、ゆうきは微塵も退こうとはしない。
いや、村田が自分の格好を忘れていたように、ゆうきもまた自分の立場という物を
しばし忘れていただけなのかも知れないけれど。

しかしそんなゆうきに対して、名倉も腹を立てるような事はしなかった。
「何か、言いたい事でもあるようやな。」
穏やかな口調のまま、ゆうきに問いかける。

539 :小蠅 ◆ekt663D/rE :04/05/07 05:24
「えと、あの・・・その、えぇとですね?」
その、どこか静かな水面を思わせる彼の纏う気配に、ゆうきの方が逆に戸惑った。
ギョロッとした目が数秒ほど泳いで。
「撃ったの・・・そう、あの時、『ゲーム』が始まったばかりの時に。僕らを撃ったのは・・・あなたですね?」


ゆうきが首を射抜かれた、あの瞬間。
あつしの口から放たれた叫びは 「まさか・・・ネプチューンの・・・名倉っ!」 。
敬称を付ける余裕もない、反射的なその言葉がもしも真実だとすれば。

ワタワタとしつつも告げるゆうきの言葉に、名倉は小さく肩を竦めて見せた。
「やっぱり・・・気付いとったんか。」
ふぅと深く息を吐きながらの名倉の呟きに、今度はゆうきの表情が強張る。
「せや、その通りや。あの時お前らを射ったのは・・・間違いなく、俺や。」

『ゲーム』が開始した直後、与えられた弓を使いこなすために、名倉は見知らぬ若手芸人を標的にして
その試射を行っていた。
数多くの逃げまどう芸人達の中で、ふと彼の目を引いたのはあつしの金髪。
そこで動く的を狙う練習台として、名倉は走る二人に照準を定めて矢を射ったのだ。

見事にゆうきの首に矢が命中しても、名倉には喜びこそ感じても罪悪感はまったくなかった。
自分が生きるために必死だった事が、彼の常識的な判断を鈍らせていたのだろう。

「・・・今は、ホンマに悪い事をしたと思ってる。」
神妙な表情で一人呟く名倉をゆうきは黙って見上げる。
気を失って倒れていた村田を引きずって街中を歩いていた最中に、彼と出会った瞬間。
ゆうきの首を貫く矢を見た名倉の表情が、一瞬だけハッと変わった事に彼は気付いていた。
目の前の芸人が“自転車こぐよのゆうき”である事は知らずとも、
かつて自分が射殺した筈の人間である事は覚えていたようで。

540 :小蠅 ◆ekt663D/rE :04/05/07 05:27
・・・何故、この状態でもなお生きているのか。
それはゆうき自身が知りたい所ではあるけれども。
この驚きと恐怖もまた、名倉に二人を助けさせるキッカケとなったのである。


「・・・・・・・・・。」
どう言葉をついで良いのかわからなくなり、ゆうきはただただ黙って名倉を見上げ続けた。
こんな状況でも名倉から発せられるスターのオーラはひしひしとゆうきに伝わってきたけれど
彼がそれに圧倒される事なく居られるのは、加害者と被害者という構図がそこに存在しているからだろうか。
いや、そんな物などこの『ゲーム』の中ではナンセンスの一言でしかない訳だけれど。

「っと、お待たせ・・・・・・って、どないしたん?」
奥からだぼっとした長袖のシャツを着込んで戻ってきた村田が、無言で見つめ合う二人の様子に目を丸くする。

「お前ら・・・緊張のしすぎでおかしぃなったんか?」
何かキモイ空気漂っとったで、と一歩軽く後ずさって続けて問いかける村田に、名倉は彼の方を向いて苦笑した。
「・・・ンな事ないわ。」
まぁ、とっくにおかしぃなってるかも知れへんけど。
小さく付け加え、名倉は腰のベルトから下げている二本の刀の内、鞘に収まらずに剥き出しになった方の
刀の柄を握ってしゅっと引き抜いた。

日の光を受けてキラリと刀身が輝く。
眩さに目を細める村田に、名倉は刀をそっと差し出した。
「それじゃ、返すで。」
そんな名倉の言葉と共に村田が受け取ったのは刃のない、模造刀。佐野から渡された、彼の武器。
桶田からは計画を受け継ぎ、佐野からは武器を渡され、松丘からは・・・まぁ何か預かってたのかも知れないけれど。
とにかく手に感じる重みに、色々な人間から様々なモノを託されて自分はここに立っている・・・
そんな意識が村田の中で再確認された。

「せや、その・・・刀な。」
思わずジッと刀に見入る村田に、名倉が自らの刀を鞘から抜き出しながら声を掛ける。

541 :小蠅 ◆ekt663D/rE :04/05/07 05:28
「ちぃとこれも見てみ。ほら、似とるやろ。」
こちらは村田の物と違って刃を有する本物の刀。
無造作にそれが村田へと差し出される様子に一瞬ゆうきは肝を冷やすけれど。
もちろん名倉に村田を斬ろうという意志はなく、村田も素直に刀に目をやった。

間近で見る真の日本刀は村田の持つそれにはない、どこか凛とした気配を漂わせている。
そういえば、昔。ネタ見せにわざわざ家にあったという日本刀と武者鎧を持ち出してきた者が居て。
その時に見せて貰った刀からも、同じ様な生半可な気持ちでは触れてはならないような気品を感じたモノだった。

「・・・・・・・・・。」
そんな過去の記憶に連動するように、その刀を持ちだしてきた者が今も無事なのか、村田は不意に不安になる。
今は本職を持ち、芸人を生業としては居ないが、彼は時に人の前に立つ事がある。
『ゲーム』から彼は逃れられたのか。それとも、この島のどこかで闘っているのだろうか。

「多分・・・それな、こいつの・・・正宗のレプリカやで。」
瞬時に思考が綴られ、言葉を失う村田に名倉はそんな彼の内面など知らずに自らの言葉を紡ぐ。
そう言われてみれば、村田の持つ刀と名倉の持つ刀はサイズも刃の模様も似ているように思える。
しかし日本刀なんてどれも一緒なんちゃうん? 刀から名倉の顔に視線を移し、そう言いかけた村田の口は、
名倉の真剣な表情によって閉ざされた。

「泰造を狂わせたあの刀が・・・村正が悲劇と混乱を生み出す刀やったら、こっちは混沌から活路を斬り拓く刀や。」
どこか自らに言い聞かせるような調子で、名倉は極めて真面目に村田に告げる。
「何か似ていると思わへんか? ツッコミと。」

「・・・何とも、俺には答えようがないけどな。」
今の俺はピン芸人なんやし、とわずかに憮然として村田は名倉に答えた。
「ただ、こんな状況から立て直して綺麗にオチまで持っていくのは・・・結構難儀しそうやな。」

「せやけど、やらなアカンねん。」
「・・・・・・ですよね。」
刀を鞘に収め、名倉は真摯に村田に答える。
それに同意するかのようにゆうきもか細く口を開き、その響きに名倉と村田は驚いたようにゆうきの方を見た。

542 :小蠅 ◆ekt663D/rE :04/05/07 05:32
ぽつりと洩らした一言に二人が揃って自分に注目する様に、逆にゆうきは思いっきりたじろぐ。
放っておいたら思わず尻餅を付いてしまいそうなゆうきに、先に村田が声を掛けた。

「お前は、俺と一緒に来たらアカン。ここに残りや。」
有無を言わせない、助言というよりも指示・・・いや、命令にも似た一言に、ゆうきは目を見開く。

「悪いけど・・・お前の首、今は何ともないかも知れへんけど・・・いつどうなるかわからんし。」
絶対に迎えに戻ってくるから、頼むから今はここから動かんといて?
鋭いキッパリとした調子から、そんな懇願するような口調に転じ、村田はゆうきに頼む。

「でも・・・・・・。」
幾ら相手が村田であっても、即座に同意するのは躊躇われ、ゆうきは不安げに村田の顔を見やった。
確かに彼の首には名倉の射った矢が今もなお突き刺さっている。
とはいえ、村田だって体調が万全という訳ではない。
いついかなる状況に転じるかわからないのは彼だって同じであろう。
けれど。
村田はできる事なら一人で背負いたかった。
これから挑む戦いの幸も不幸も、すべて自分の責任において。
ウケるもスベるも己次第・・・そんなピン芸と並べて語る訳にはいかない事柄だろうけれど。
これ以上、誰かの笑顔を思い出しては後悔などしたくない。
「・・・大丈夫、や。確かに俺じゃ頼りないやろけど、任せといて。」

ふわりと痛々しげながらも笑みを浮かべた村田に、ゆうきはそれ以上反論する事は出来なかった。
躊躇いながらこくりと頷くと、村田の手が伸びてきて、彼の汗や埃でクシャクシャになった頭を撫でる。
「・・・スマンな。島を出られたら・・・絶対呑みに連れて行ったるから。」

その時は、いくつ舟盛り頼んだかて・・・余った刺身を頭に盛られたかて怒ったりせぇへんから。
いつぞやかに珍しく酔い潰れた村田にゆうき達が仕掛けた悪戯を引き合いに出し、
ゆうきに告げる村田の口振りは驚くほど優しい。
それが尚更ゆうきの不安を煽る事になるとわかっていても、咄嗟に他の良い方法が思いつかない以上
村田にはそうするしかなく。

543 :小蠅 ◆ekt663D/rE :04/05/07 05:36
「・・・・・・必ず、ですよ?」
「・・・あぁ。」
恐る恐る重ねて確認するゆうきに村田は頷いた。
その傍らで、名倉がふと表情を翳らせていた事など彼らには知る由もなかっただろう。


『戻ってきますよね?』
『大丈夫。絶対戻ってくる。』

名倉の脳裏を掠めたのは、『ゲーム』が始まったばかりの頃のそんな会話。
言葉を交わした相手はアクシャンの安井 順平。
彼は村正によって正気を失った原田とそして名倉自らの不注意によって傷付き、
安全を確保するために名倉が民家に残してきたにもかかわらず、後にその死亡が確認されてしまっていた。

もしかしたら、名倉の知らない所で彼の傷が急に悪化したのかも知れない。
それとも彼を・・・いや、彼らを待つ間に他の芸人に殺されたのかも知れない。
場合によっては彼が名倉の指示を無視して民家から出歩いた可能性も無視できない。
しかし結局その場に居合わせられなかったのだ。彼の死の原因について考える事は無駄な事なのだろう。
もしかしたら、それが名倉が安井を側に連れていれば防げたかもしれないモノであったとしても。

いや、それこそ考えるのは不毛な事柄だろう。
この『ゲーム』の中での選択に、正解も不正解もない。結果がすべてであるのだから。


「・・・名倉さん?」
ふと意識が思考にのめり込んでいたらしい。不安げに村田が呼ぶ声で名倉は我に返る。
「あ、あぁ・・・・・・。」
「ホンマに、ありがとう御座いました。」
ゆうきの説得を終えたらしい村田は軽く頭を下げ、それからゴソゴソとボトムのポケットを漁りだした。
すぐにスタンガンを取り出して、村田はそれを名倉の方へと差し出す。
まさかそこにスタンガンを隠しているとは思わなかったようで、名倉はにわかに表情を強張らせるけれど。

544 :小蠅 ◆ekt663D/rE :04/05/07 05:41
「・・・・・・・・・?」
「これを、首輪に当てて使って下さい。そうしたら首輪は外れますから。」
桶田はそうやって首輪を外してました。まぁ、信用できへんのやったらそれで良いんですけど。
言いながら村田は名倉にスタンガンを握らせて、それからクルッと彼に背を向けた。
「それじゃ・・・行ってきますわ。 願わくば、次は・・・島の外で!」
不自然なほど明るく村田は言い残し、模造刀を右手に民家を駆け出していく。

「気を付けてな。」そう名倉は村田の後ろ姿へと呼び掛けようとしたけれど、
外に向かって大声を張り上げるのはこの状況下では好ましい行動ではない。
それゆえ口に出さずに名倉はその言葉を心で叫び、最後に彼に握らされたスタンガンのスイッチを入れる。
本来ならば、スタンガンを爆弾が仕込まれている首輪に当てるなどと言う行為など出来るはずもないし
他の人間の発言ならば周到な作戦かなどと疑う所であろうが、名倉は素直に火花を放つ電極を首輪に押し当てた。

バチッと静電気が走る時の何倍もの大きな音が上がり、首輪に紫色の光が走る。
「くっ・・・・・・!」
「・・・な・・・っ!」
予想はしていたモノの、余りの衝撃の大きさに名倉とゆうきの口からそれぞれ驚愕の叫びが漏れた。
そしてその次の瞬間にはスタンガンからも首輪からも光は消える。

「・・・・・・・・・。」
途端に喉への圧迫感が薄れたような感覚を覚え、名倉は首輪に指を掛けた。
すると、今までなら何も起こらなかった首輪からガシャリと金属同士が触れ合う音が上がり、
続いてスルリと首輪は名倉の首元から外れ、その手に握られるばかりとなる。
「本当に・・・外れた・・・。」
余りに僅かな時間での出来事に、まだ状況を把握しきれていないような呆然とした呟きをゆうきは洩らした。
「こんなに簡単に外れるんなら、やっぱり・・・もしかしたら・・・」

「せやけど・・・村田の奴、自分の首輪・・・外してないんとちゃうのか・・・?」
これでちょうどバッテリーの残量が空になったらしい。
何度スイッチを押しても反応一つ起こさないスタンガンを手に、名倉はポツリと呟いていた。
よほど特殊な電池を使ってさえいなければ、街中の電気や民家でバッテリーの補充は出来るだろうが。
村田の首輪が一度外された後に無理矢理はめ直されたモノであるようには彼には思えなかった。

545 :小蠅 ◆ekt663D/rE :04/05/07 05:43
「おい、ゆうきとか言ぅた・・・そこのちっちゃいの!」
すかさず路上からクルッとゆうきの方を向き、名倉は声を上げる。


「俺が許す、今からあいつを追っかけて来ぃ!」

自分で何とかすると口にしつつも、バッテリーの残量の少ないスタンガンで自分の首輪を外さず
名倉の首輪を外す事を選択する。どこかで名倉が事を成す事を期待している・・・
それは村田の中で覚悟が固まりきっていないが故の現象なのだろう。
けれど、そんな生半可な状態のままでは、近い内に彼は密かに彼自身が期待していた通りに死ぬ事となる。

「でも・・・村田さんが・・・。」
何げにぞんざいな呼ばれ方をした事はともかくとして、ゆうきは名倉の急な指示にしり込みした。
彼の気質である。行ったら行ったですぐ戻れと言い張り、同行を許してなどくれないだろう。

「その時は言うたったらエエんや、芸人への『来るな』は『来い』って意味や、と。」
名倉はキッパリと言い放って、それがわからんお前が間違っとるとな、と付け足した。
まさかこんな所で芸人の御約束を口にされるとは思わなかったが、確かにそれも一理あるように思えて
ゆうきは表情をパァッと変化させる。

「確かにお前がここを出る事で・・・危険は増すかもしれへん。でも、後悔はしたくないやろ?」
追い打ちのように掛けられる名倉の言葉が、村田の説得を一度は受け入れたゆうきの心を動かしていく。
思わず数歩、村田が出て行った方向へ歩を進めてから、彼はふと立ち止まって名倉を見上げた。

「ありがとうございます。」
クシャリと顔を歪めて微笑み、ゆうきは告げた。
「名倉さんの事、憎くないって言ったら嘘になるし、僕も正直そこまで人間出来てないですけど。」
・・・外でまた逢えたら、その時にはあなたを尊敬する芸人って言って回りますよ。

ゆうきの声はか細く、首を貫く矢は痛々しげではあるけれど。
口調ははっきりとしており、大粒の瞳もまだ力を失ってはいない。

546 :小蠅 ◆ekt663D/rE :04/05/07 05:49
「・・・・・・・・・。」
それは、赦しと受け取ってエエのやろか?
思わず口に出しかけた言葉を飲み込み、名倉はゆうきへ頷いて返した。

まだ『ゲーム』は終わってはいない。
確かに殺し合いの熱病に浮かされた芸人達も徐々に目を覚ましつつあるけれど。
本当に赦しを必要とするのは、『ゲーム』が終わってから・・・そう、
芸人達がこの島の外に出て、それぞれの現実と向き合う事になってからだろう。

それでも緊張と畏怖だけでなく、僅かに敬意と感謝の混じったゆうきの眼差しは、名倉の心を少しだけ軽くする。

「・・・ありがとな。」
口から自然と漏れた言葉は、彼自身が驚くほど素直な響きを持っていた。


「外で、逢おな!」



【ネプ・名倉、村田渚&自転車こぐよ・ゆうき組と分離】

547 :小蠅 ◆ekt663D/rE :04/05/07 05:58
>>538でのアンカーは>>465-472 が正しい物です。

あと、今回で自分の話での名倉さんの役目は終わりなので、
名倉さんのキープを解除します。

ついでに現実世界では自転車こぐよは解散してしまってまして。
ゆうきさんは新しい相方さんとヒデヨシというコンビで再スタートを切っています。
ですがこの話の中では自転車こぐよのままで、もう少しだけ頑張って貰う予定ですので
どうか御了承下さい。

548 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/07 12:58
昔めちゃイケでお笑いバトルロワイアルって企画あったな

549 :マイナスドライ:04/05/08 23:00
どうも。ずっと読み手だった奴です。
かなり前のですが、ニチョケンの集団催眠話書いてもいいですか?
つっても、そんな大層なもんは書けませんが……。
誰か書かれる予定、或いは別の人間に書かれるのが嫌だった場合、言ってくだされば止めます。

550 :名無し:04/05/10 17:22
>>549
書いて書いてください。小堀を格好よく(笑い)

551 :名無しさん@お腹いっぱい。:04/05/10 22:10
そうそう、小堀を格好良くw

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